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| 日本民藝館(東京・目黒区) |

日本の若者文化をリードする渋谷からわずか2駅という近さなのに、ここ目黒区駒場付近は閑静な住宅街である。駅は駒場東大前(井の頭線)。乗り降りする学生はおそらく東大生。駅前に教養学部がある。近くには近代文学館などもあり、町全体が知的な雰囲気に包まれている。渋谷とは対照的だ。
日本民藝館(柳宗理館長)は駅から5分ほど歩いたところにある。建物は創設者・柳宗悦が自ら設計し、昭和11年に完成したものだ。ここの「本館および付属塀(大谷石)、同西館長屋門および付属塀」が先ほど国の有形文化財に登録された。 同館の学芸員・杉山享司氏に話を聞いた。
同館は、民藝運動の本拠として河井寛次郎、浜田庄司、棟方志功らの交流の場になっていたという。同西館長屋門(明治13年建造)は柳邸の一部として昭和9年に栃木から移築されており、おそらく東京で最初に建った石屋根の建造物であろう、との話であった。
遠目には瓦屋根にしか見えない。しかし近くで見ると、なるほど大谷石で、瓦と同じように張られている。滑り落ちないように上下左右が噛み合 うように加工されており、寸法を微調整しながら1枚1枚丁寧に仕上げた様子が伺える。車や歩行者の安全を考えて、石屋根の欠片が落ちないように軒下には網がかけられていた。
杉山氏は「大谷石は加工しやすい反面、脆く崩れやすい。酸性雨などの影響でだいぶ屋根が傷んでいます。10年ほど前、石屋根全部を葺き替えようと業者に見積もりをお願いしたら、5〜6千万円掛かるという話でした。その当時すでに石屋根を作れる職人が数名と聞いてましたので、どうでしょう。良質の石も少ないようですし、今はもう難しいかも知れません」と話す。
今回、これらの建物が文化財に登録認定されたの も、近代建築物として「造形の模範となるもの」かつ「再現することが容易でない」ことがその理由であった。この石屋根を作った当時に比べて、今現在の方が加工技術や生産能力が飛躍的に向上しているのに、その修復が困難というのは何ともさびしい限りである。たとえ能率が悪く、費用が高く掛かるとしても、こうした質の高い文化を残していくためには手加工の技術を後世に伝えることが必要だと再認識した。
日本民藝館=東京都目黒区駒場4‐3‐33
開館=午前10時〜午後5時(月曜休館) | |